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弁護士 丹澤 友佑(函館弁護士会所属)
売掛金や代金等の債権を回収することは、事業を継続することや、ひいては事業により生活をしている経営者の生活にとっても重要なことです。
債権回収の手順は、事案や相手方の資力や経営状態等によって異なってきますが、弁護士に委任した場合であっても、通常はまず交渉によって開始することが多いと思います。
弁護士から内容証明を送付したり、場合によっては相手方に弁護士が訪問したりして支払いを促すなどします。交渉で満額の支払いを受けたり、今後の支払い条件についての話が解決した場合には、合意書を取り交わす等しておきます。
交渉がうまく行かなかった場合でも、原則としていきなり差押え等の強制執行手続きをすることはできません。
まずは、その債権について訴訟を提起するなどして債務名義を取得する必要があります。
債権が少額の場合には通常訴訟ではなく、少額訴訟手続きをとる場合や、相手方が督促異議を申立てることが見込まれない時には支払督促を申立てすることも考えられるかもしれません。
これらの債務名義を取得した後、相手方の預貯金や代金等の債権、不動産等を差し押える強制執行を行います。
なお、債権について不動産を担保にとっている、すなわち抵当権を有している場合などは、債務名義が不要となることがありますので、その場合は担保権執行の手続きを訴訟等を経ることなく行うことになります。
また、訴訟等をする前に、相手方の財産を仮に差し押えるなどしておく手続きのことを民事保全手続といいます。訴訟等を経ないで行えることから、より迅速な債権回収手段にはなりますが、訴訟等で債権の存在や支払義務があることが確認されていない段階で相手方に不利益を与える手段であることから、債権額や性質等に応じた担保金を裁判所に納めないといけません。
これらの法的手段を執った場合に、例えば相手方の取引口座が差し押えられたら事業に重大な影響が生じることから、相手方が任意に支払いを行ってくることもあります。
強制執行手続きをしたが、満額回収できなかった場合や、債務名義を取得したけれども相手方の財産がどこにあるかわからない場合等は、相手方に財産を開示させる財産開示手続を申立てることも考えられます。
いずれにしても、有事の際に迅速に債権を回収するには専門知識が必要となりますので、弁護士に相談することをおすすめします。
社員が犯罪を犯した疑いで逮捕された場合、道南の事件であれば函館新聞に実名で掲載されるなどして、会社が直ぐに社員の逮捕を知ることがあります。会社への影響等を考え経営者としては直ぐに解雇
処分をしたくなるところですが、慎重な対応が必要です。
日本では有罪判決がされるまでは無罪が推定されます(無罪推定の原則)。
そのため、単に逮捕されただけで、本人がその罪を犯したものとして扱って懲戒解雇を行ってしまうのは、たとえ就業規則等に逮捕されたときに解雇事由に該当すると書いてある場合であっても、後日解雇が無効とされるリスクが大きいです。
勾留後に社員と面会し、面会で社員が犯罪事実を認めている場合であっても、後日になって、無罪を主張したり、嫌疑不十分や起訴猶予などで不起訴処分になることがあるため、やはり慎重に対応することが必要です。
最終的に社員に執行猶予付きの懲役刑や罰金刑といった有罪判決がされた場合であっても、犯罪と業務の関連性、会社の社会的評価への影響の程度、犯罪の悪質性の程度や前科前歴の有無、会社でのそれまでの懲戒処分歴の有無や、それまでの勤務態度での問題の有無等によっては、解雇処分では重すぎるとして無効とされることがあります。
なお、犯罪の重大性や事件の複雑性によっては、社員が複数回逮捕・勾留され、起訴後も保釈されないなどの理由で長期間就業できなくなる場合がありえます。
その場合には、犯罪を犯した疑いによってではなく、長期間就業できない状態が続いたことを理由に解雇することが認められる余地があります。
会社の従業員に着服・横領され特にその金額が多額である場合、当該従業員一人だけでは返済してもらえないケースが多くあります。
そのような場合に、親族などの身元保証人にも請求することができれば、回収の可能性やスピードを上げることができます。
2020年4月の民法改正以前は、賠償額の金額を定めることなく、身元保証契約ができましたが法改正により大きく変更されましたので注意が必要となります。
法改正以前から身元保証書の書式を変更していない場合、「身元保証人として、本人と連帯して賠償の責任を負う」といったぐあいに、賠償金額の定めがなく抽象的な責任が記載されていることが一般的です。
2020年4月以降に採用された従業員の保証人の場合、上記のような抽象的な文言のままであれば、保証契約が無効とされてしまう結果、せっかく保証書を書いてもらった親族等がいても法的には賠償を請求できない事態が想定されます。
なお、賠償の上限額(極度額)については会社側で自由に定めることは可能ですが、保証人保護の観点から可能な限り具体的な金額を記載することが要求されますが、「基本給の○○ヶ月分」といった幅のある記載でも予測可能性が保たれるのであれば有効と解される余地があると考えられています。
2020年4月以前に採用された従業員の保証人の場合であっても、身元保証には期間の制限があり、自動更新もされません。
身元保証書に期間の記載がない場合は3年、期間の記載のある場合はその期間として、ただし、5年以上の期間が記載されている場合には5年となります。
したがって、既に期間が過ぎている場合にも、身元保証人に法的に損害賠償の請求をすることができなくなってしまいます。
そのため、身元保証の効力を維持するためには、期間満了の前に再度身元保証書の署名押印をもらうといった対応が必要となります。
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