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弁護士 丹澤 友佑(函館弁護士会所属)
自己破産手続きをする場合に、現在使用している自動車を手元に残しておけるかどうか、自動車が生活に必須ともいえる函館市や北斗市、その他道南地域の相談者様にとっては、重大な関心があるところだと思います。
自己破産をした場合に、自動車が必ずとられてしまう、そのように考えて自己破産を躊躇したり、無理な任意整理を選択してしまうケースもよく見られます。
以下では、自己破産をした場合に必ず自動車を失うことになるのか、手元に残しておける場合についても解説します。
なお、あくまで執筆時点での函館地方裁判所での運用状況を前提にしておりますので、管轄裁判所が他の裁判所になる場合等には妥当しない場合があることをあらかじめお断りしておきます。
車を購入した際に自動車ローンを組んで購入し、そのローンがまだ残っているとします。
そのような場合には、ローンを完済するまではローン会社に自動車の所有権が法律上残っている契約となっていることが一般的です(所有権留保といいます)。
この状態で自己破産をする場合、ローン会社はこの留保した所有権に基づいて自動車を引き揚げることになります。
要は、ローン会社が自動車ローンの返済・回収を確保するために、自動車そのものが担保に入れられている状態と考えると理解しやすいかと思います。
なお、ごく稀にですが、自動車の年式が古く自動車の価値が乏しい場合には、引き揚げるための費用分も回収できない等とローン会社が判断して引き揚げを求めてこない場合もあり、当事務所の弁護士も何度かそのような経験をしたことがあります。
他方で、「マイカーローン」といった名称などで、自動車を購入するためのローンでありながら、自動車が所有権留保となっていないローンも存在します。
一部の地方銀行やろうきん等で見られるローンですが、このようなローンについては所有権が留保されていないため、契約者が破産する場合であってもローンを貸付した金融機関側が法律上自動車を引き揚げる根拠がなく、引き揚げは求められません。
この点について誤解されて、自動車ローン以外の債権者のみを整理の対象として選択し、支払いの継続が困難な程度の任意整理を希望されてしまう方が比較的多くいらっしゃる印象です。
実際に当事務所に自己破産を依頼された方の中にも、テレビCMでよく見る大手事務所に相談して、マイカーローンについて自動車が引き揚げられない点を説明されないまま他の債権者のみの任意整理を選択し、結局すぐに支払いが難しくなって破産することとなった方が数名いらっしゃいます。
なお、マイカーローン等で所有権留保がされていない場合でも、次に続くように一定の場合には破産財団への組入れ等の必要が生じて保有を継続できない場合はあります。
自動車ローンが残っていない場合や、上記のようなローンが残っていても所有権留保がされていない場合、ローン会社や借入先の金融機関から自動車の引き揚げは求められません。
もっとも、自動車についても財産である以上、一定の価値以上の自動車については破産財団への組入れ等の必要が生じます。
具体的には、他の財産と同様ですが20万円以上の価値がある自動車については、原則として破産財団を構成するものと扱われることになります。
自動車の価値が20万円を超えるかどうかについては、査定書を取得するといった事で疎明することになりますが、函館地方裁判所の場合は初年度登録から10年以上経過した自動車については疎明資料を特に求められないことが多いです。
その結果として、20万円を超えない財産については破産財団に組入れる必要がないことから、そのまま自動車を保有していられる、といった帰結になります。
なお、初年度登録から10年経過した自動車であっても、ベンツやアウディ、BMWといったいわゆる高級車の場合は査定書を求められる可能性が高いので注意が必要です。
初年度登録から年数がそれほど経っていなかったり、10年以上経過していても高級車であったりして査定額が20万円を超えてしまっている場合、破産手続きは原則として破産管財人を選任する管財事件となります。
その場合でも、破産者の自由にできる自由財産の範囲を拡張する申立てを行うことで、裁判所が破産者の手元にその自動車を残しておくことができる許可をしてくれる場合があります。
この許可が認められるかどうかについては、他の自由財産の範囲拡張対象財産の有無や破産者にとって自動車が必要な事情、自動車の査定額等によって左右されますので、具体的なケースについては弁護士に直接ご相談ください。
破産手続きで破産財団へ組み入れられて破産債権者への配当のために換価されるのは、破産手続開始決定時に存在する破産者の財産になります。
そのため、破産者が破産手続開始後に働いて得た給料などで新たに自動車を購入したりすることは特に問題にはなりません。
また、破産者本人名義ではない、家族や友人の自動車などは破産財団を構成するものではありませんから、破産者が家族等の名義の自動車を使用していくことも特に問題ありません。
ただし、破産申立の前に元々破産者名義だった自動車を家族や友人の名義に変更することについては、本来的には破産財団を構成すべきであった自動車を破産財団から流出させることとなりますので、破産管財人からの否認権行使の対象となりえますので注意が必要です。
借金を抱えていて破産を考えている方で、自動車を残せるのかどうかお悩みの方は、破産事件の経験が豊富な当事務所にご相談ください。
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