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弁護士 丹澤 友佑(函館弁護士会所属)
銀行からの借り入れや消費者金融からの借入れ等の借金の滞納が続いてしまい、給料の差押命令が届いてしまってこのページをご覧になっている方であれば、どの程度の金額が差し押えられてしまうのか、どう対処してよいかもわからず不安になっていることでしょう。
このページでは、借金の滞納で給料の差押えを受けてしまった場合の今後の流れや、対処法などについて解説します。
なお、債権者の請求債権については法的に問題がない(債権の存在について争いなく、消滅時効にもかかっていない等)前提での解説になります。
函館市や北斗市にお住まいの方であれば、函館地方裁判所から債権差押命令という書類が届いているはずです。
給与の差押命令は、借金の貸主である債権者が、借主である債務者が支払いをしない場合に、債務者が勤務先に対して有する給与の支払いを請求する債権を差押えをして、勤務先から直接取り立てする手続きになります。
そのため、差押命令が申立された場合、当然ですが勤務先にも差押命令が送達されるため、借金を滞納したことが勤務先にもわかります。
差押命令が届いた勤務先から、そのこと自体を理由に解雇されることはないでしょうが、勤務先にも手間をかけることになりますから、勤務先での居心地が悪く感じるのは間違いないでしょう。
通常の借金であれば給与の差押命令が申立されるよりも前に、裁判所からの支払督促や訴状が届いていると思いますので、その段階で対処するのが本来的には望ましいです。
既に借金について差押命令が申立されてしまった場合には、差押命令が債務者(借主)に送達されてから1週間が経過後に債権者が勤務先から取り立てすることが可能になります。
借金による差押命令の場合でも、給料は通常生活に必要なものですから、差押される範囲には制限があります。
すなわち、給料の手取金額の4分の3・手取金額が33万円を超える場合は33万円については差押えが禁止されています。
例えば、給料の手取りが20万円の場合、4分の3は差押えが禁止されますので、差押えがされるのは4分の1の5万円となります。
一度給料が差押えされると債権者が回収し終えたり、取下げをするまでは差押えが続きますので、毎月の給料の4分の1が差押え続けられることになります。
なお、差押命令の記載を確認してもわかりますが、差押え後に勤務先を退職して退職金が出る場合には、退職金も差押えの対象になってしまうことに注意が必要です。
既に債権者から給料の差押命令が申立されてしまった時点で、債務者(借主)の側で取り得る対処法は限られます。
申立をした債権者はいつでも差押命令を取下げできますので、債権者と交渉をして取下げしてもらうというのもいちおうは考えられます。
しかし、債権者は費用と手間をかけて差押命令までの手続きを行ってきているため、既に差押命令が申立され命令が発令されてしまった段階で債権者に差押えをやめてもらうというのはあまり現実的ではありません。
また、当然ですが差押えの原因となっている債権(借金)を全て支払えば差押えは終了します。
ですが、通常は給料の差押えを受けるほど借金を滞納している時点で、借金を全額弁済するような余裕がないのが当たり前ですから、こちらも現実的ではありません。
現実的な手段としては、次の「差押禁止債権の範囲変更の申立て」、自己破産または個人再生の申立てとなります。
差押禁止債権の範囲については、原則として上で述べたように手取額の4分の3とされていますが、例外的に手取額の4分の3以上を差押禁止債権としてもらう、つまり差押えられる額を4分の1より少なくする手続きがあります。
差押禁止債権の範囲変更の申立てという手続になり、令和元年度の民事執行法の改正前からあった手続きですが、同改正によって、差押命令が債務者に送達される際に手続が書面で教示されることになりました。
執行裁判所(函館市や北斗市にお住まいの方であれば函館地方裁判所)に申立書を提出して行う手続となりますが、申立てをして必ず変更が認められるという制度ではもちろんありません。
申立てを受け付けた裁判所は、「債務者及び債権者の生活の状況その他の事情」を考慮して判断するとされています。
金融機関や消費者金融が債権者である場合は、あまり「債権者側の事情」は債務者から主張するような事情はなさそうです。
また、「その他の事情」としては、任意履行の意思や可能性・債務者側の誠実性などがあたると考えられていますが、変更の申立てが認められるかどうかとの関係で言うと決定的な要素ではなさそうです。
したがって、申立ての際に特に詳細に主張する事情とすると、債務者(借主)の事情、具体的には、家族構成や債務者の給与以外の収入がない(あるいは少ない)、家計の資産が乏しいこと等から、差押えがされることで一般的な生活水準が維持できないということを詳細に主張することになるでしょう。
申立てについては、債権者も反論等をすることができます。資料となるものがある場合にはお互いに提出するなどして、最終的に裁判所が変更の可否を判断します。
当事務所でも、過去に差押禁止債権の範囲変更の申立てを何度か行っていますが、申立てが認められないことも多い印象です。
幸いにして差押禁止債権の範囲変更の申立てが認められた場合でも、通常は差押えされる金額が若干減るだけで生活状況が大きく改善されるというのはまれです。
また、毎月弁済される金額が減るということは支払い期間も長くなり、その分遅延損害金も余計に加算されていくため、根本的な解決策にはなりえません。
借金で給与を差押えされてしまった場合には、次の、自己破産や個人再生の申立てによって解決をするのが最も適切と言えるでしょう。
給与差押えに対しての根本的な解決方法としては、借金の支払義務をなくしてもらう自己破産と、借金の支払額を法的に減額してもらう個人再生の2つがあります。
一般的には、自己破産をする場合の方が早く差押えを失効させることができます。
財産が乏しくかつ重大な免責不許可事由がない方であって同時廃止手続となった場合ですと、破産手続開始決定の時点で差押命令の手続が中止され、通常ですとおよそ1ヶ月半~2ヶ月後の免責決定がされ確定した時点で強制執行が失効します。
その場合、債務者は免責決定確定後に、勤務先が保管等していた開始時から免責決定までの間の差押え部分の給与を受け取る形になります。
債権者によっては、破産手続開始後に差押えを取下げする場合も多く、その場合は当然ですが差押えが終了します。
個人再生の場合には、再生手続開始決定の時点で差押えが中止され、再生計画認可決定が確定した時点で失効することになります。
個人再生の場合、手続の申立てや準備が破産よりも煩雑になることが多いことや、開始決定がされた後に、裁判所から指示されて積み立てを行う期間などがあるため、申立てまでの期間にもよりますが、一般的には弁護士に依頼した時点から差押えが失効されるまで自己破産よりも時間を要すると考えられます。
差押禁止債権の範囲変更や自己破産の申立てなどは専門的な手続きになりますので、給料を差押えされてお悩みの方は当事務所までご相談ください。
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